70年代、80年代のラジオ・ラジカセの使いこなし

 ここでは、質問や問い合わせが多かったことなどや、意外と知られていないことを取り上げてみます。

2012年9月27日更新

アッテネーターとスピーカーコードの写真をアップしました。

★CDプレーヤーや外部機器を接続すると音が歪むことがある★
CDが無かったころのラジカセのライン入力は、CDなどのデジタル機器の音声出力レベルが高すぎるために
歪んでしまうことがあります。
CDプレーヤーに可変出力がある場合
解決方法としては、CDの出力が可変できる物は音を歪まなくなるまで小さくします。
ラジオと同じぐらいの音量にすると良いです。

可変出力がない場合
CDのヘッドホン端子に音量調節がある機種は、ヘッドホン端子とラジカセのライン入力をつなぐケーブルを
購入して接続します。
CDのラインアウト端子を使用する場合は、音量を下げるアッテネーターを出力と入力の間に接続します。
Victorの変換アダプター (詳しくはビクターのホームページのAVアクセサリーの変換アダプターをご覧下さい。)
黒いのが-10dB減衰するAP122Aで、CDプレーヤーとラジカセのライン入力に使用します。
赤と白が-20dB減衰するAP121Aです。(モノラルビデオをラジカセのライン入力につなぐ時歪む場合に使用します。)
 ★FM放送がうまく受信できない★

FM放送を受信するときは、ロッドアンテナを伸ばし、いちばんきれいに受信できる位置に調整します。
建物の構造にもよりますが、できれば放送局のある方向の窓際が良いです。
最近の建物の室内は、ラジオに妨害を与える電気製品が増えました。
新しい家に引っ越したところ、室内の照明の蛍光灯をつけるとFM放送に大変妨害を与え、
とても受信状態が悪くなる場所がありました。
ロッドアンテナを伸ばすと室内のノイズ電波のほうが強くなるようで、窓際でも受信できない場所があります。
このような場合はロッドアンテナを短くするとよい状態になることがあります。
ただステレオ受信できない電波の強さになるので、モノラル受信に切換えます。
きれいにFMステレオ放送を受信するには、外部アンテナ端子がある場合は屋外にFMアンテナを立てることをお勧めします。
ラジカセのチューナーは、シールドがしっかりしていないので室内のノイズの影響を受けやすいですが、
外部アンテナを接続すると、ロッドアンテナとは比べもにならないくらい大変きれいな音質で受信できます。
屋外用アンテナを室内にアンテナを置くと、人が動くだけでも影響を受けて受信状態が変化しますので、
できるだけ屋外に設置してください。
ロッドアンテナやフィーダーアンテナは室内で受信しているため、ノイズを発生する電気製品や人が動くだけでも影響を受けて
受信状態が変化します。

  ●外部アンテナ端子がある場合●
外部アンテナ端子にFMアンテナのケーブルを接続します。
電波の受信環境にもより使用するアンテナの種類も変わりますので、
近くの電気屋さんに相談するとよいです。
写真は8素子八木アンテナです。 
  ラジカセの外部アンテナ端子のほとんどは、入力インピーダンスが
300Ωです。
同軸ケーブルを使用している場合は、75Ωから300Ωに変換する
整合器を間に取り付けます。
屋外に取り付けたアンテナからの電波が強すぎる場合は、
アッテネーターを取り付けます。
オーディオ機器のFMチューナーなどは強い電波を入力しても
ほとんど大丈夫ですが、
ラジカセの場合は入力オーバーとなり歪んだり、
放送局のないところに放送が聞こえたりします。
写真は、整合器と-10dBのアッテネーターを取り付けた状態です。

現在使用している状態は、8素子アンテナからの電波は4分配されて
各部屋に送られています。
自室に来ているアンテナ端子に、2分配器を取り付けて
オーディオチューナーとラジカセに接続しています。
電波は少し弱いようで、アッテネーターは取り付けていません。 
ブースターの使用を考えています。
いろいろなFMアンテナ●

市販されているアンテナは、ダイポールアンテナ、位相差給電アンテナ、八木アンテナなどあります。
3素子八木アンテナです。
ラジカセに接続して使用していました。
今のように他局化をしていない頃は、ラジカセでいろいろな
FM放送も受信していました。
5素子八木アンテナと8素子八木アンテナです。
FM専用チューナーを接続して、遠距離の微弱電波の放送を
よく受信していました。
★音質グレードアップ術@★
セッティングでの音の変化を利用します。
本体の改造なしで、音質アップしてみましょう。
ラジカセは背面から低音がよく出ています。
背面から出ている音を表に回して、音量アップしたようにする方法です。
左右上下と背面が囲まれた、箱のような場所に置きます。
本棚やラックなどに置き、回りにある程度空間を付けます。
音量を上げた時、背面の板が薄いと振動するので補強すると良いです。
ラジカセの前面パネルより左右の板が前に出ると、
音の広がりに影響しますので調整してみてください。
床に置いて使用するときは、壁などに立てかけて少し傾けます。
倒れないように、底に何か挟んでおくと安全です。
聴く人の耳の高さより低い位置ですと中高音の明瞭度が落ちますので、
耳へ届きやすいように角度をつけます。
ラジカセの音は、正面で聴くのが一番バランスよく聴けます。
音質グレードアップ術A★
音の変化を実際に聴けるように録音しました。
録音機材です。
TASCAMのDR-100という、リニアPCMレコーダーです。
96kHz24bitと44.1kHz16bitの二種類のサンプリング周波数で録音します。
クラシックの録音にもよく使われていた、
Brüel & Kjær
4006(B&K4006)という
無指向性コンデンサーマイクを使用しました。
低音はフラットに伸びています。
さすがに、ラジカセやリニアPCMレコーダーの内蔵マイク、
民生用のマイクロホンとは全く音が違います。

CDプレーヤーは、SONYのCDP-338ESDで、
DA変換にSONYのDTC-1500ESを使用します。
重心の低い厚みのある音です。
音楽はホームページに使用する都合上、著作権フリーCDを使用しました。

DATの可変ラインアウト出力をラジカセのライン入力に接続します。
ラジオと同じぐらいの音量になるように調整します。
デジタル機器のラインアウト出力レベルは高すぎるので、
ラジカセの入力レベルに合わせて歪まないように調整します。
スペクトラム・アナライザーを使用して周波数を測定します。
写真の左側の装置が、スペクトラム・アナライザーです。
右下が測定用のマイクロホンです。
ショックマウントに取り付けてある銀色の部分がマイクロホンです。
左右のマイクロホンはスピーカの間隔に合わせます。
ラジカセからの距離は約50cmにセットします。
左右が録音用で、センターが測定用のマイクロホンです。
しっかりしたオーディオラックの上は、良い音で聴けます。
マイクロホンのセットが出来ましたので、録音開始します。
CS-80の音量ボリュームは、3の位置です。
@トーンコントロールのバスとトレブルはセンター、ラウドネスはオフ。
44.1kHz16bit
96kHz24bit
パソコンのCDライティングソフトで使用する場合は、44.1kHz16bitの音源を使用してください。
Aトーンコントロールのバスは最大、トレブルはセンター、ラウドネスはオフ。
44.1kHz16bit
96kHz24bit
Bトーンコントロールのバスとトレブルはセンター、ラウドネスはオン。
44.1kHz16bit
96kHz24bit
Cトーンコントロールのバスは最大、トレブルはセンター、ラウドネスはオン。
44.1kHz16bit
96kHz24bit

ラジカセが、曲の最初の方でビリついてしまいました。ビリつかないように調整したのですが、ぎりぎりのレベルだったようです。
次は、YAMAHAのYST-SW50というスーパーウーハーを接続します。
スペクトラムアナライザーで、
スーパーウーハーのハイカット周波数と音量を合わせます。
位相切替スイッチも調整します。

スーパーウーハーは、横側に置くより下側の方が良いようです。
このように重ねると使いにくいので、
ラックの中に入れると良いと思います。
マイクロホンの高さを調整します。
ラジカセのラインアウト出力をスーパーウーハーに接続しています。
ラジカセの音量ボリュームとは連動しないので、
ラジカセの音量ボリュームを操作するときは、
スーパーウーハーの音量ボリュームも操作する必要があります。
Dトーンコントロールのバスとトレブルはセンター、ラウドネスはオフ、スーパーウーハーを追加。
44.1kHz16bit
96kHz24bit

スーパーウーハーを使用すると、
ラウドネスをオフとトーンコントロールをフラットにできるので、
ラジカセの音量を上げられます。
音質グレードアップ術B★
音の変化を実際に聴けるように録音しました。
安定化電源装置を用意します。
オーディオアンプでは当たり前ですが、強力な電源が音を良くします。
ラジカセはポータブルという制約から、強力な電源が搭載できません。
DC入力端子に接続して使用します。
約4アンペア出力可能の電源だったと思います。

外部電源は必ずトランス式を使用してください。
スイッチング電源は、ラジオ受信時にノイズが入ります。


また、ACアダプターは指定以外のものを使用すると、
適正電圧にならない場合があります。
過電圧や極性違いの場合は、
故障することがありますので十分注意が必要です。
アイワのDC入力端子は、センターがマイナスです。
プラスとマイナスを間違えないように確認してから、
DC端子にDCプラグを接続します。
接続コードは細いと電圧降下がおきますので、
なるべく太いケーブルを使用します。

この当時の機器用のDCプラグのサイズは、数種類あります。
のちに、極性統一プラグが規格されましたが互換性はありません。
AIWAのCS-80は、内径:2.5o・外径:5.5oです。
ソニーやナショナルは、内径:2.1o・外径:5.5oです。
ビクターは、内径:3.1o・外径:6.3oです。
これらは、4.5Vから15V位までの機器用です。
3V機器は、さらに細くなります。


写真左が内径2.1mm・外径5.5mm用(DC-2.1G))、写真右が内径2.5mm・外径5.5mm用(DC-2.5G)です。
対応ケーブル最大外径6.3mm、
シリコンリングでピンの長さを4段階に変更可能です。
オヤイデ電気製の、お勧めの高品位DCプラグです。

こちらは、内径:3.1o・外径:6.3oのDCプラグとケーブルです。
ケーブルは、中の銅線が多いものを使用します。
CS-80の指定電圧の9ボルトに調整します。
Eトーンコントロールのバスとトレブルはセンター、ラウドネスはオフ、内蔵AC電源を使用。
44.1kHz16bit

96kHz24bit
Fトーンコントロールのバスとトレブルはセンター、ラウドネスはオフ、安定化電源装置を接続。
44.1kHz16bit
96kHz24bit
安定化電源装置を使用して、さらにスーパーウーハーを使用してみます。
Gトーンコントロールのバスとトレブルはセンター、ラウドネスはオフ、安定化電源装置、スーパーウーハーを接続。
44.1kHz16bit
96kHz24bit
カセットテープ音質グレードアップ術@★
カセットテープのラジカセやデッキでの調整による音の変化を紹介します。
SONY C-90 HFBのテスト
 
SONYの新製品のHF90分テープをテストしてみます。
原産国はテープが韓国、組み立てがインドネシアです。
 
リーダーテープにはテープの走行方向と、A面とB面の表示があります。
気づいていない人が多いですが、ラベルシートの裏側には使用上のご注意が書いてあります。
使用方法と保存方法が書いてあります。
左側が旧製品で、右側が新製品です。
ケースの厚みとハーフの違いがあります。
HFの旧製品と新製品とmaxellのURとの比較です。
細かく見ると、HFの新製品はURと共通点が多いです。
上がmaxellのUR。
中央がSONYの新製品のHFB。
下がSONYの旧製品のHFA。
上がmaxellのUR。
中央がSONYの新製品のHFB。
下がSONYの旧製品のHFA。
使用するデッキは、SONYのTC-K555ESRです。
3ヘッド、デュアルキャプスタン、クーオーツロックDDモーターです。
テープの性能をフルに引き出すキャリブレーション(較正)機能が
搭載されています。
バイアスと録音レベルキャリブレーションつまみをセンターにして、
キャリブレーションスイッチをONにしてみます。
バイアスはちょうど良いようですが、テープの感度が低いようです。
このままでは、ドルビーNRがうまく動作できません。
キャリブレーション機能を使用しない時の再生音の比較をします。

★比較用に、ソースモニターからの元の音源の音です★

★バイアスは適正、感度が低い時、ドルビーNRはOFFの再生音★

★バイアスは適正、感度が低い時、ドルービーNR-BタイプをONの再生音★

★バイアスは適正、感度が低い時、ドルービーNR-CタイプをONの再生音★

高音域の多い音源は、録音レベルはもう少し低めにした方がよさそうです。
このように、バイアスは適正でも感度が低いとドルビーNRはうまく動作しません。
感度が適正でもバイアスが適正でない場合も同じです。

また、バイアス調整だけの付いたデッキでは、ドルビー録音はうまく動作しません。
録音レベルキャリブレーションを、適正位置までレベルを上げます。
キャリブレーション機能を使用した時の再生音の比較をします。

★キャリブレーション後、ドルビーNRはOFFの再生音★

★キャリブレーション後、ドルービーNR-BタイプをONの再生音★

★キャリブレーション後、ドルービーNR-CタイプをONの再生音★

高音域の多い音源は、録音レベルはもう少し低めにした方がよさそうです。
このように、バイアスと録音感度がイコライザーの調整が出来るデッキを使用することにより、
テープの性能を引き出せます。
さらに、高性能の音楽用テープを使用することにより、より良い音で録音再生できます。

このように録音されたテープをラジカセで再生すると、ラジカセの自己録再音より、さらに良い音で再生されます。
SONY C-90 HFAのテスト

SONYの旧製品のHF90分テープをテストしてみます。
原産国はテープが韓国、組み立てがタイです。
バイアスと録音レベルキャリブレーションつまみをセンターにして、
キャリブレーションスイッチをONにしてみます。
バイアスはちょうど良いようですが、テープの感度が低いようです。
このままでは、ドルビーNRがうまく動作できません。
キャリブレーション機能を使用しない時の再生音の比較をします。

★バイアスは適正、感度が低い時、ドルビーNRはOFFの再生音★

★バイアスは適正、感度が低い時、ドルービーNR-BタイプをONの再生音★

★バイアスは適正、感度が低い時、ドルービーNR-CタイプをONの再生音★

高音域の多い音源は、録音レベルはもう少し低めにした方がよさそうです。
録音レベルキャリブレーションを、適正位置までレベルを上げます。
キャリブレーション機能を使用した時の再生音の比較をします。

★キャリブレーション後、ドルビーNRはOFFの再生音★

★キャリブレーション後、ドルービーNR-BタイプをONの再生音★

★キャリブレーション後、ドルービーNR-CタイプをONの再生音★

高音域の多い音源は、録音レベルはもう少し低めにした方がよさそうです。
maxell UR-90Lのテスト

maxellのUR90分テープをテストしてみます。
原産国はテープが韓国、組み立てがインドネシアです。
バイアスと録音レベルキャリブレーションつまみをセンターにして、
キャリブレーションスイッチをONにしてみます。
バイアスはちょうど良いようですが、テープの感度が低いようです。
このままでは、ドルビーNRがうまく動作できません。
キャリブレーション機能を使用しない時の再生音の比較をします。

★バイアスは適正、感度が低い時、ドルビーNRはOFFの再生音★

★バイアスは適正、感度が低い時、ドルービーNR-BタイプをONの再生音★

★バイアスは適正、感度が低い時、ドルービーNR-CタイプをONの再生音★

高音域の多い音源は、録音レベルはもう少し低めにした方がよさそうです。
録音レベルキャリブレーションを、適正位置までレベルを上げます。
キャリブレーション機能を使用した時の再生音の比較をします。

★キャリブレーション後、ドルビーNRはOFFの再生音★

★キャリブレーション後、ドルービーNR-BタイプをONの再生音★

★キャリブレーション後、ドルービーNR-CタイプをONの再生音★

高音域の多い音源は、録音レベルはもう少し低めにした方がよさそうです。
スピーカー音質グレードアップ術★(仮タイトル)
スピーカーセパレートタイプや外部スピーカーのセッティングでの音の変化を紹介します。

ミニプラグと先パラのスピーカーコードは、ビクターからCN-137Aというスピーカーコードが発売されています。
3メートルの高純度99.996%OFC(無酸素銅)コード採用です。
★テープスピード調整★
本来は調整用のテストテープと周波数カウンターを使用しますが、入手が困難なので別の方法を紹介します。
テープ速度偏差は、一般用では2%または3%、ハイファイ用では±1.5%と決められています。
3000Hzの信号は、ワウ・フラッターの測定にも使用します。(回転ムラ)
1秒間に10回までの変化がワウ、それ以上がフラッターです。
フラッターは音ゆれというよりも、音の濁りとして感じられます。

ここをクリックすると、「カセット用テストテープを作る」のリンクページにいきます。

基準音を録音して、調整用テープを作成します。
出来ればクォーツロックのデッキを使用すると、
より正確なスピードにできます。
無い場合は、基準とするデッキで録音します。
なるべく長いテープに、繰り返し録音してください。

基準信号 440Hz -12dB 2分
       3000Hz -12dB 100秒
440Hzか3000Hzの使いやすい方を使用してください。
CDやメモリープレーヤーにコピーしておくと再生が楽です。


楽器用の電子チューナーの信号を録音しても調整できます。
録音用デッキや調整用のラジカセは20分以上はテープ再生してヒートランしておいてください。
カセットメカのクリーニングはしておいてください。
CS-80を参考に手順を紹介します。
→部分のねじを外して、裏キャビネットを外します。
ネジはみな同じサイズです。
配線がつながっているので、そっと開けてください。
チューナー基板につながっている、白いアンテナ線を引き抜きます。
こちらの赤と黒の配線は電源ですので外さないでください。
ACコードを差し込んで、テープをセットします。
細いドライバーのマイナスを用意します。
これは、サーボ回路内蔵モーターの調整方法です。
モーターの種類やサーボ回路基板が別の場合は、
それぞれ違う調整方法になります。
テープの中間位置を再生します。
別の再生装置で、基準信号を再生しておき、
ラジカセのテープも同時に再生します。
2つの音が同じ周波数になるほど音揺れがゆっくりになります。
スピードが同じになると音揺れがほとんどなくなります。

楽器の調律と同じ要領です。

モーターの調整穴にドライバーを差し込んで、
そっと左右どちらかに回すとスピードが変わります。