ラジオ・ラジカセミニ博物館

Panasonic RX-DT70の修理



2009.7.11

修理未経験者や初級者向けの細かい工程の説明はしていません、
基礎知識があり修理経験豊富な方が修理してください。
万一修理を失敗しても、自己責任でお願いいたします。

★修理専門業者ではないので、修理依頼はお受けしていません★

カセットの修理

フロントパネルを外します。

DECK 2のカセットメカです。

ギヤが欠けています。

ピンチローラーを外してから、ヘッドブロックを外します。

メーカーに注文した部品です。
壊れたギヤは、劣化して黄色くなっています。

新しいギヤを取り付けて組み立てます。
 

DECK 2のヘッドブロックのテープガイドがすべて折れています。

DECK 1のテープガイドは大丈夫です。 

ヘッドブロックは、メーカーに在庫はありません。
同じヘッドブロックを使用している同型の中古品を探しましたが・・・・。

中古品も破損していました。

仕方がないので構造を調べてみました。
樹脂パーツだけを入れ替える方法もできそうですが、
やめた方がよさそうなので、もう一台探します。

RX-DT70
昭和63年9月

 RX-DT70のテクニカルガイドの部品表で、
ヘッドブロックの品番を調べます。
画像をクリックすると大きくなります。
 

同系統メカニズムのヘッドブロックの品番を調べます。
リバースヘッドは、ヘッドの形が同じでも他メーカーや、
同一メーカーでも品番が違うと取り付けられません。
後継機種や他機種に継続して同じ形の部品が
使用されている場合は、違う品番になっていることもあります。

また、改良された部品に変更されることもあり、
一部色や形が違っても使用できる部品もあります。
もしかすると部品製造メーカーによっては、同じ形の部品が
他メーカーのメカにも使用されているかもしれません。

次に、RX-FD65を入手しました

RX-FD65のカセットメカは、RX-DT70と違うところがいくつかあります。

RX-FD65のDECK 1のヘッドブロックは、ヘッドが大きいです。

RX-FD65のDECK 2のヘッドブロックは、RX-DT70と同じです。

RX-DT70への移植は、問題なくできました。
テープをイジェクトしたとき蓋があかなかった場合、
無理して手で開けないでください。
入手困難なヘッドブロックが破損します。
操作ボタンを何度か操作後、
ストップをしてからイジェクトを押してください。
イジェクトボタンを押しても完全にあかない場合は、
修理に出してください。
★ヘッドのアジマス調整★
アジマス調整の仕組みを知らない方は決して触らないでください。
専門メーカーで製作されたアジマス調整用テープは、高い周波数の信号が正確に記録されています。
調整時は、測定器と調整用テープを使用しないと正確には合わせられません。
カセットデッキで作成した手作り調整用テープや、音楽では正確に調整できません。

アジマス調整は、カセットふたパネルの両脇の爪を押してはずします。
古くなったプラスチックは折れやすいので、
フロントパネルを外した方法が良いです。

 

アジマス調整の仕組みを知らない方は決して触らないでください。
アジマス調整用テープを再生して、
アジマス調整ねじを回して調整します。

 スピーカーのボイスコイル端子か、ヘッドホン端子の出力をはかります。

ねじが回るように、ねじロックをはがします。
出力が最大になるようにアジマス調整ねじを調整後、
ねじロック(ペイントロック)をします。
 
実際にはフロントパネルを外した方が調整しやすいです
 ヘッドブロックがあまり丈夫にできていないので調整しにくいです。
写真のテープはアジマス調製用テープではありません。
スピーカーの修理

スピーカーはウレタンエッジなので劣化してボロボロです。
はんだを溶かして、配線を外します。

劣化したエッジは、コーン紙から分離しています。
エッジのサイズを測り、ファンテックに注文します。

T04のエッジ2枚とボンドセットで注文しました。
大変わかりやすいカラー写真入りの説明書が付いています。

ボロボロのエッジを綺麗に剥ぎ取ります。
  

コーン紙にエッジを張りつけました。
軽い重石を載せて一晩待ちます。
 

センター出しをして外側のフレームとエッジを貼り付けます。
乾いたら、ガスケツトも貼り付けて完成。
CDの修理

CDはトラバースユニット(ピックアップを含むユニット)や、
CD基板が入手できないので修理できません。
機材もないので故障原因は調べられません。

CD基板を外しました。
コンデンサーは液漏れしていないようです。
スピンドルモーターが回らない原因はわかりません。 

ためしにコンデンサーを取り換えてみました。
結果は変わりません。




中古品のCD基板やトラバースユニットだけ、
スピンドルモーターだけ差し替えなど、いろいろテストしました。
スピンドルモーターは壊れていません。
基板とピックアップの両方かどちらかが悪いのかもしれません。
やはり原因はわかりませんでした。

結局、中古品のトラバースユニットとCD基板に差し替えます。
基板のコンデンサーも入れ替えて取り付けました。
CD-Rには対応してないようですが、
通常のCDは再生できるようになりました。









RX-DT70のトラバースユニットには、新・旧2タイプがあります。
使用するトラバースユニットにより回路の一部の抵抗と
コンデンサーが違います。
新トラバースには、Aの刻印があります。

 抵抗・コンデンサの相違点
 図番 旧トラバース(Aマーク無)  新トラバース(Aマーク有) 
 R701 6.8kΩ   4.4kΩ
 R708  22kΩ  68kΩ
 R710  100kΩ  33kΩ
 R717  150kΩ  100Ω
 C703  0.033μF  0.1μF
 C705  2.2μF  10μF
 


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