ラジオ・ラジカセミニ博物館

AIWA TMR-400の修理


FM/T(1〜3ch)/SW/MW ラジオ付LLカセットレコーダ
PLAY & LESSON TRACER400
TMR-400
1978年発売、当時の定価\42,800

2006.12.19修理完了

修理未経験者や初級者向けの細かい工程の説明はしていません、
基礎知識があり修理経験豊富な方が修理してください。
万一修理を失敗しても、自己責任でお願いいたします。

★修理専門業者ではないので、修理依頼はお受けしていません★

修理依頼品です。
今まで経験したことのない故障症状です。
ラジオの録音は奇麗に出来ます。
ラジオとミキシングマイク録音も奇麗に出来ます。
スイッチはTAPEで、テープ再生はハム音が出ます。
スイッチはTAPEで、テープ再生とマイクミキシングはハム音がでます。
スイッチはTAPEで内蔵マイクで録音するとハム音が録音されます。
スイッチはTAPEで外部マイクで録音するとハム音が録音されます。
スイッチはLLで内蔵マイクで録音するとハム音はしませんが、イヤホンでの同時モニター音はハム音がします。
スイッチはLLで外部マイクで録音するとハム音はしませんが、スピーカーやイヤホンでの同時モニター音はハム音がします。
LLの状態で録音した物を他のステレオテープデッキで再生すると、左が元から録音されている音、
右から後から録音した音が奇麗に聴こえます。
外部電源でのテープ再生時は、ハム音は出ませんがバリバリとノイズは出ます。
録音再生プリアンプは2つあると思われるのでどちらかの不良かもしれません。
最初、モーターに負荷がかかるとハム音が増えたのでサーボ回路かと思いましたが、ラジオ録音には影響がないので違うと思います。
テープ再生回路のどこかの不具合かもしれません、少しづつ解析して部品を一つずつ調べる作業となりますので時間がかかると思います。
まずは、中のフレームごと取り出します。
正面です。
裏面です。
モノラル機ですが、LLラジカセなので少し回路が複雑です。
基板を裏返してみました。
部品点数はそれほど多くないです。

コンデンサーは、破裂している物はないようです。
電源をつないで、テープを再生しながらノイズの発生源を探します。
録音再生プリアンプは、東芝のICのTA7137が2つあります。
ICの出力は、8番ピンです。
出力をたどりながら、ノイズを探します。
ICの出力は異常ありません。
バランスボリュームも問題ありません。
バッファーアンプ付近でバリバリとノイズとハム音があります。
バッファーアンプとプリアンプの間を、部品を外しながら調べます。
トランジスターもコンデンサーも異常ないようです。
RADIOとTAPEの切り換えスイッチのはんだを取って調べたときに、
ノイズが止まったりしました。

赤丸のところが、問題の箇所です。
拡大してみましょう。
スイッチの足を動かすとノイズとハム音が出たりします。

接点洗浄剤や接点復活剤では直らないので機械的不良か、
酸化しているのか調べるために分解してみましょう
取り出したスイッチです。
このスイッチを分解します。

スイッチやボリュームは、接点復活剤を掛けただけでは治らない場合もあります。
先に接点洗浄剤を使用して汚れを落としてから、接点復活剤を掛けます。
ただ、接点洗浄剤の後に接点復活剤を掛けないほうが良い場合もあります。
そのときはもう一度接点洗浄剤を掛けてください。
どちらもだめな場合は、分解して清掃するか交換をします。
向きを間違えないように印を付けておきます。
中の接点も順番を間違えないように並べます。
全部同じ形ではありません、このように同じ物が入っていないことがありますので、
組み立てるときは間違えないようにします。
接点はさびてはいないようですが、一応接点洗浄剤と目の細かいやすりで磨いて
おきます。
その後にアルコールで汚れを落としてから、SETTEN No.1という接点改質剤を
塗布しておきました。
元通り組み立てて、ハンダ付けします。

動作チェックをしたところ、ノイズは無くなりました。
しばらく鳴らしておいてから色々つついてみたら、またノイズが出ました。
また問題の箇所のハンダをとってから、足を動かしノイズの無いところで
ハンダ付けしなおしました。

今度はつついても、問題ないようです。
構造上の問題でしょうか、困ったスイッチです。
また再発するかもしれません、しばらく様子を見てみましょう。
カセットメカです。
ベルトは新しくなっていますが、以前の溶けたベルトがプーリにまだ付着して
いますので、エチルアルコールで奇麗にふき取ります。
ベルトが、厚めのが掛かっているようです。適用サイズを調べましょう。
モーターとフライホイールをつないでいる、平ベルトは半折14cmで幅4mmですが
厚みがあります。
フライホイールと小さいプーリに掛かっている角ベルトは、直径3cmでした。
どちらもちょっと小さいようです。
このままでは、モーターに負荷が掛かりすぎて壊れてしまうかもしれません。
適用サイズ調べて、交換してみます。
平ベルトをまず半折15cmを掛けてみました。
掛かりますが、負荷を掛けるとスリップするのでもう少し小さくします。
半折14.5cmを掛けてみましたらちょうど良さそうです。
ただ幅が、5mmでしたので、フライホイールから少しはみ出てしまい、
そのためはみ出たほうにベルトが引っ張られ、モーターのプーリから外れて
しまいますので、幅4mmに加工します。
角ベルトは直径3.5cmに交換します。
カウンターのベルトはそのままで良いようです。
ゴムベルトは使用している間に少し伸びます。
半折14.5cmで大丈夫だと思いますが、しばらく使用して伸びてスリップするようだと
半折14cmの厚みの薄いベルトを使用したほうが良いかもしれません。
組み立てます。
テープ再生をしてノイズが発生しないか、しばらく様子をみます。
ほんとにスイッチが原因かわからないですね。
症状が出ないと原因が調べられません。
このまま大丈夫なら良いのですが。

数日のテストの結果、テープのノイズは再発しませんでした。
チューナーの調整です。
チューナーの受信周波数や感度の調整は、信号発生器を使用します。
無い場合は、放送局で調整するしかないですが、
大まかにしかあわせることしか出来ません。
持っていない方は、無闇にコイルなどを回して調整しないで下さい。
FMのフェライトコアは、特に割れやすいので注意が必要です。

FM/SW/MWの感度と受信周波数の調整をします。
FMとSWの感度がもう少し上がるといいのですが、
劣化しているのでしょうかあまり上がりませんでした。

FMがワイドバンドのためか、最低受信周波数と最高受信周波数で目盛りをあわすと、
FM放送の密集しているところの目盛りと少し合わない所があるようです。

FM放送の多いところの目盛りが合うように調整しておきました。
各動作をチェックして、修理完了

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